犀の角

制作記録とかほにゃほにゃ

友人オリキャラのぬい制作過程

 こんにちは!4-8(しのは)と申します。
 つい先日、友人オリキャラのぬいを制作しました。今回はその制作過程についてお話しします。

 ※途中、剥き身状態のぬいが出るのでご注意ください。

前書き・今回作るぬいの種類

 今回作ったぬいは棉花娃娃(ミェンファワーワー)という中国、韓国系のぬいです。
 日本のぬいにない特徴として、前髪と肌の境界を始め髪に刺繍が入っていることが挙げられます。日本のぬいは裁断のみだったり、布を重ねて髪の毛を作る傾向が強いです。

 ただし、近年は国内外で自作ぬいブームが起きていることもあり、この辺りの特徴はかなりごちゃ混ぜになりつつあります。
 ぬいの分類は今回の記事の本題ではないため深掘りしませんが、気になる方は調べてみてください。


www.youtube.com

 今回お借りした型紙は中国の方が配布されているものなので棉花娃娃とします。
 私はこの型紙で過去二体ほどぬいを作っています。
 それぞれ可愛く作れたものの反省点が多々あり、今回は人に贈るということもあってかなり慎重に作りました。

制作打診

 制作のきっかけは友人の誕生日でした。
 高校時代から今でも縁が続いている友人、加えてライブ遠征でここ一年複数回家に泊まらせてもらったりで恩が尽きないので、今年は気合いが入ったものを贈ろう!と思ったのが始まりです。

 色々考えはしましたが、長きに渡る私の手芸趣味を知っている、なおかつTRPGプレイヤーなのでオリキャラを数名抱えている友人相手ということを考えると、オリキャラぬいを贈ることはほぼ確定でした。

 友人も確定のようでした。
 というわけでここから制作にあたり友人へのヒアリングを開始します。

◆友人に諸々決めてもらう

 まず友人に制作するオリキャラを一人決めてもらい、続けて髪と肌に使う布地の色を決めてもらいます。
 布は『ぬいぐるみの生地やさん』『グッズプロ』さんから選んでもらいました。

shop.nuigurumi-fabric.com

item.rakuten.co.jp

◆デザイン画作成

 布の色地に迷ってもらっている間に、送られてきた立ち絵からぬいのデザイン画を作ります。

 元々はTRPG用に作られたキャラクターだったので全身資料が即出てくるのはありがたいほか有りません。
 継続PCだったので複数立ち絵が用意されていたのもデザイン上大変助かりました。

 デザイン画です。刺繍の図案などはまた別に作るのでラフ的な意味合いのものです。
 髪をどうデフォルメするか、服はどうするかなどを整理するために描いたもので、細部は詰めつつもざっくり描き込んでいきます。
 描きながら、友人にいくつか意匠の確認をしました。そのうちの一つが袖口の「龍(竜)」の字です。

※当該アーティストの画像が添付されていたのですが引用としての要件を満たせないので省きます

 服に興味があったり富裕層寄りのキャラならリッチで立体感のある刺繍でできているかもしれない、逆にそうでなければペラペラのプリント地かもしれないと思っての確認でした。
 キャラクターデザイン的にこだわれる所はこだわりたかったのもありますが、凝ってもそこまで負担にはならなさそうというのが一番大きいです。

材料調達

 とはいえコンピューターミシンを持ってない身で漢字の刺繍はきついため、代替を取りました。
 布に描ける絵の具です。

 今のご時世、布に描けるペンは当然あるだろうし、少し立体感が付くものもあるのでは?と思って探したらありました。後述しますが、かなり理想の立体感が出ました。
 この辺りで友人から布の色味の返事が返ってきたので、材料をまとめて購入します。

デザイン画完成

 注文した資材が届くまでの間にデザイン画の細部を詰めます。
 予定的に友人の手が塞がっていたため、後頭部は私が描くことになりました。

 実際には分け目のジグザグ刺繍はできなかったのですが、大体のイメージはできました。
 同時に目のデザインも詳細まで決めました。

制作開始

 布が届いたので作り始めます。

ぬい本体を作る

 とりあえず大きな変更がない体だけ先に作ることにしました。

 できました。近くにあるちっちゃい塊は耳です。
 昨年ミシンを買ったのですが、以来縫い物の作業効率が3倍くらい早くなったように思います。
 やはりパワーこそ正義。

刺繍

 刺繍を始めるとなかなか修正が難しいので、作る前に最終確認をします。

 髪の毛のデザインはぬいの制作経験上というより、絵の情報量を増やすために勝手に付け足した部分があったので、友人に確認をとりました。

◆顔の刺繍(第一の難所)

 友人からOKをもらったので縫い始めます。というか前髪は縫い終わりました。
 刺繍の下絵には水で溶ける刺繍シートを使用しています。文明の利器。

◆目の刺繍

 友人オリキャラさんはハイライトなしのぐるぐる目とのことだったので、とにかく地道な作業になりました。
 順序的にはアウトライン→ぐるぐるの濃い部分をサテンステッチ→合間を少し薄い色でサテンステッチです。
 正確な作業時間は分かりませんが土日はまるまる刺繍していたと思います。積み動画を流しながらやっていたので覚えてません。
 大学の頃、刺繍の制作課題で恩師に「刺繍は写経」と言われた覚えがあるのですが、本当にそうです。

 最初に下絵を描いた時は眉毛を描いていましたが、友人曰く重めの前髪をしたキャラなので最終的には除外しました。

◆刺繍シートを溶かす

 刺繍ができたので刺繍シートをお湯で溶かしていきます。
 洗面器にぬるま湯を張り、洗剤を少し入れてしばらく放置します。自分用のぬいなら普通の洗剤で済ますところですが、贈り物なので念の為オシャレ着用洗剤を使いました。

 ぬめりがなくなるまで優しく洗い、お湯を変えて濯ぎ洗いをしたのち、綺麗なタオルで挟んでしっかり水気を切った後、ドライヤーで乾かします。

 できました。
 第一の難所はこれで片付きました。

髪を作る

 髪の毛もそれなりに細々とした作業になりますが、目の刺繍と比較すればさほど苦でもないのでサクサク進めます。

 デザイン画を見直しつつ、必要なパーツを作っていきます。
 顔の刺繍で作った前頭部、後頭部はさておき、ツインテール二つと襟足、頭のアンテナを作ることにしました。

◆アンテナ(クイズ付き)

 体が出来上がった頃から友人には制作過程を送っていたのですが、なんか可愛いものが出来たのでここでも送りました。

親方は友人間における私の呼び名です

◆がっと仕上げる

 先ほども言った通り、目の刺繍に比べればミシンでガッと縫って終われれる部分なのでちゃっちゃと作っていきます。

 抜け殻のようになっていた体と顔を縫い合わせ、綿を詰めました。
 立体になるとテンションが上がりますね。

ツインテを付ける

 ツインテールは体のバランスを見つつ縫い付けたかったので綿入れ後に付けます。
 まち針でおおよその位置を決め、手縫いで付けちゃいます。

 できました。
 これで体は完成です。

服の制作(第二の難所)

 ぬい本体は配布の型紙がありますが、服は型紙がありません。よって、一から採寸して型紙を起こすことになります。
 ここから第二の難所になります。
 過去に自分のオリキャラのぬいを制作した際もこの服の採寸から作成がかなり億劫で、結構な期間ぬいを半裸状態(正確にはハンカチを巻いた風呂上がりスタイル)にしていました。
 が、プレゼントなのでそうはいきません。
 友人のためにも、今後もぬいを作るだろう自分のためにも、一念発起して採寸をします。

採寸について

 採寸については以下の記事と本を参考にしています。
 私が説明するよりこちらを見てくださった方が早いと思うのでご了承ください。
 

nuipe.com

 窮屈だとは思いますが、友人オリキャラさんに粘着タイプの包帯を巻き、ラインテープを貼ります。
 どちらも百均で入手しました。

 ハッピーハロウィン。

ズボン

 ズボンに関しては過去にぬいを作った時に起こした型紙が残っていたのでそれをアレンジしました。
 丈と幅を調節しつつシーチングで仮縫いをし、ある程度ゆとりがあることを確認して本番の布を切ります。

 できました。
 ズボンを履くと急に人間味が増した気がします。

◆下着どうする

 ここで、下着のことを完全に忘れていたので友人に確認を取ります。

 写真に残すのを忘れたのですが、実際には平ゴムと薄手の白生地でふんどしを作りました。
 これもミシンでガッと作りました。

トップス作り

 トップスの型紙は過去に作ったはずのものが残っていなかったので、一から起こしました。
 前回作った時、いらないところには余裕があるのにいるところはパッツンパッツンになった記憶があるので、こちらもシーチングで真面目に仮縫いをして作ります。

 生活感ありすぎてお恥ずかしい。
 奥にいるピンクの子は私のオリキャラのぬいです。

◆袖とかを作る

 あらかた上半身の型紙が出来たところで袖口を作ります。
 布に描ける絵の具の出番です。

 写真は絞りたて(?)なのでかなり立体感もりもりになっていますが、乾くとちょっと中央が膨らんでいる程度に萎みました。
 同時に、ズボンの裾と同じサテン生地でパイピングテープを作りました。

 袖とパイピングテープが乾くのを待つ間に作れるところを作っていたらトップスも一気に完成しました。  型紙が完成すると早い。

 自画自賛ですがかなり再現度の高いものになったと思います。正直ここまで再現できると思っていませんでした。
 細かい部分まで凝った甲斐がありました。まだ刺繍とか残っていますが。
 ちなみに服の合わせは薄手の面ファスナーを付けました。

小物作り

◆緊急手術

 ここで何の気なしに友人の立ち絵を見返し、あることに気付きます。

 刺青を忘れていました。
 再現性の話を語っておいてこれを見過ごすわけにはいかないので、緊急手術(オペ)を行います。

 ピーシングペーパーに刺青の菱形を描き、アウトラインを刺繍します。
 アウトラインがなぞれたらピーシングペーパーを破いて剥がし、サテンステッチで面を埋めます。

 無事成功しました。
 服を着た状態では見えないのですが、見えないオシャレはあるだけで良いものなので大事です。

◆ピアス作り

 服が粗方できたところで、プラ板でピアスを作ります。
 最初は通常の透明なプラ板をマーカーで塗り潰して作っていたのですが、どうにもうまくいかない。

 最終的に、百均で見つけた最初から金色の塗装がしてあるプラ板を使いました。

プラバンキュコット(シャンパンゴールド、B5サイズ、厚み0.3mm)jp.daisonet.com

 完全に写真を撮るのを忘れていたので、完成写真でご注目ください。

◆服に装飾を足す

 服にチャイナボタンの刺繍を施します。

 色替えも真面目にやりました。
 サテン生地の残りでチャイナボタンを作ることも考えましたが、流石に小さいので刺繍にしました。全てチェーンステッチです。
 あと写真には残していないのですが、ズボンの裾やファスナーなど縫い代部分をかがり縫いで抑えました。

◆靴を作る

 百均にぬい自立用ワイヤーが売っていたりもするんですが、裸足が可哀想なのもあり、自律できる靴を作りました。
 参考にしたのはこちらの型紙です。


www.youtube.com

 足首が5cmのぬい用とのことだったので、適当に縮尺をかけて使いました。

完成

 完成しました。
 シンプルながらもかなりのクオリティに仕上がったのではないかと思います。

 服の刺繍とピアスです。
 あと特に言及していなかったのですが、軽くチークも載せました。
 肌の端切れにタミヤウェザリングマスターを付けてみるも、どれも馴染まず。

 最終的には手持ちのブラウン系アイシャドウをポンポンしました。

 本当ならコンテなどを削って使った方がいいと思います。

 うちの子ぬいとツーショを撮ったりしました。
 うーん可愛い。

更にもう一押し

 ぬいは完成しましたがまだ終わっていません。
 家に帰るまでが遠足、納品までが完成、相手の手元に届くまでが贈り物です。
 ラッピング用品はすでに用意してあったので、お手紙と取説を描きます。

 超合ボアって何なんでしょうね……完成でハイになっていたのでよく覚えてません。
 友人にはインスタに上げる許可も得ていたので、インスタ投稿に添える用も兼ねてSDイラストを作成しました。

本当に完成・発送

 こうして、完成したぬいは発送され、翌日には友人の手元に届きました。

 改めて聞かなくてもわかる喜び様に私もホッとしました。
 可愛がってもらうんだよ。

 ということで、自作ぬいの一連の流れでした。
 今回は①人のオリキャラ ②親しい友人へのプレゼントなので採算度外視 なので色々とイレギュラーではありますが、こういった制作記録はいくらあっても良いものだと思うので書きました。
 これを読んだ方がちょっとでも自作ぬいに興味を持ってもらえたら嬉しいです。
 ありがとうございました。