かなり簡単に始められる綴織のやり方【misskey.artアドベントカレンダー・18日目】
こんにちは!
Misskey.artアドベントカレンダー、1枠目18日目担当の4-8(しのは)と申します。
同じく18日担当の新蕎麦さんの記事も見てね!
宴もたけなわ、本記事では簡単に始められる織物のお話をします。
私は美大で染織系学科を専攻していたのですが、作品制作のメイン技法にしていたのが織物でした。
織物は各所各時代で伝統工芸として覇権を握っていますが、その普及率を裏付ける通り、基本のしくみは非常に単純です。
今回はその中でも絵を描く人に親和性の高い綴織のやり方を紹介します。
綴織とは
綴織とは色の違う糸を折り返したり交錯させることで絵柄を織りだす織りの技法の一種です。
この折り返す部分が道の『つづら折れ』 に似ているため、綴織と呼ばれているそうな。
似たような技法は古来より世界各地で見られ、日本だと絹糸で織る西陣織が有名です。
絹糸で作ると予算も時間も吹っ飛ぶので、今回は毛糸でやります。
(大学時代の制作も毛糸でやっていました)
※本来、織物では縦糸と横糸のことを経糸(たていと)、緯糸(よこいと)と表記するのですが、わかりやすさを優先して縦横で表記しています。ご了承ください。
◆織り機を作る
手動の織り機は職人さんが使うような何トンレベルの大型のものから卓上に置く程度の小さいものまであります。
それぞれに利点はあるのですが、縦糸を固定できれば織物はもう簡単に作れます。
ということで、まずは織り機を作りましょう。
【準備するもの】
- 好きな大きさの木製の写真フレーム※100均でないものが望ましい
- タコ糸
- L字金具4個と固定用のネジ
- 定規
- 筆記用具
- 錐
- ドライバー(ネジに対応した大きさのもの)
- ハサミ
- カッター
フレーム以外は全て100均で揃うものでOKです!
写真フレームは100均のものだと耐久性に不安な部分があるのでニトリ等で買うのがおすすめです。
今回は説明のしやすさを優先して小さいサイズのフレームを用意しましたが、実際には最低A4サイズくらいのフレームで作った方が織りやすいです。
大は小を兼ねます。
タコ糸は手芸用と料理用の二種類ありますが細ければどちらでも構いません。
いざ織り機作り
①写真フレームをフレームのみにする
今回はこのフレームに糸を張って織物をします。
まず最初に、木枠以外の全ての部品を剥がします。
細かい部品も糸を張る時に障害になるので全て取り除きましょう。
これでこの写真フレームは写真フレームとしての生涯を終えます。
②L字金具をフレームにつける
DAT―10 スチール金具 L字 S 4Pjp.daisonet.com
フレームにはそこそこの力で糸をかけるので、保険として金具で補強します。
金具は100均のDIYコーナーや園芸コーナーにあるL字のもので大丈夫です。
もっと最適な金具を知ってらァ!という人はそれでもいいです。
金具を当てて穴の部分にペンで印をつけ、錐で穴を開けます。
再度金具を当てて、錐で開けた穴を基準にネジをしっかり嵌めます。
四隅全てに取り付けたらOKです!
③目盛を付ける
取り付けた金具を避けつつフレームの上下に5ミリ間隔で印を付けます。
後述しますが、作品の実寸に加え処理のためのプラスα部分が必要になるので縦長に縦糸を張ります。
さらに縦糸のずれを防止するため、印の部分をカッターで切り込みます。
ちょこっとで大丈夫です。
④縦糸を張る
切り込みに沿ってフレームに糸を巻きます。
ギターの弦ほどの強さはなくていいですが弛まない程度にぴんと張ってください。
また、糸の張りはまばらではダメです。どの糸も均一に、同じくらいの張りにしてください。
ここでクオリティの5割が決まります。心して作業しましょう。
はい!織り機ができました!
これでもう織れます。縦糸さえ張れればもう大丈夫です。
というわけで早速織り始めましょう。
ハサミと定規はまだ使うので、仕舞わずにいてください。
◆綴織を織ろう
【準備するもの】
- 実寸下絵
- 毛糸
- フォーク
- 細長く切った厚紙
- 毛糸用のとじ針など太めの針
下絵はデジタルでもアナログでもいいのでカラーで描いて紙に出しましょう。縦糸の下に置いて参照します。
Misskey発のアドベントカレンダーなので、みんなのアイドルにゃんぷっぷーを用意しました。
毛糸は使いたい色を好きなだけ用意してもらっていいです!
が、中太〜太の毛糸の二本どり(極太なら一本)で織るため、意外と少ない色数で大丈夫です。
今回私は濃紺・青・黄色の三色を用意しました。
つまり青の毛糸一つ取っても青×青、青×黄色、青×濃紺の三色が作れます。
フォークは糸を寄せる櫛の代わりに使います。
できれば大きめで歯の数が多いものが良いです。
わかりやすいように百均で見つけたメタリックゲーミングカラーのフォークを用意しました。
定規は縦糸を起こす綜絖(そうこう)の代わりに使います。
15cmくらいの小さい定規で大丈夫です。
❶細長い厚紙を通す
慣らし的な意味も兼ねて横糸代わりに1cm幅程度に細長く切った厚紙を通します。
この厚紙はお菓子の箱くらいの厚さの紙で構いません。私はピノの箱でやりました。
縦糸を一本ずつ飛ばしながら厚紙を横に通します。
次の段は前の段で飛ばした縦糸を拾います。織りはこの作業の繰り返しです。
織り物っぽくなりましたね。 三本くらい通したら大丈夫です。
❷3〜5cmくらい織る(織りの基本作業)
よっしゃ!織ります! といっても最初は単色で数センチ織ります。これも慣らしです。
横糸は先ほど言った通り二本どりで使います。
毛糸玉から適当な長さを切り、小さい束を作りましょう。
指三本に三回巻きくらいの量でいいと思います。
前項の厚紙と同じ容量で糸を通すのですが、横糸を通しやすくする為にまず糸でなく定規を通します。
通した定規を縦に起こして隙間を作り、横糸を通します。
さて、この横糸ですが、出だしを起点に斜め45度くらいの角度にふんわり入れてください。
横糸を入れたら、定規上げていた縦糸を下ろします。
入れた横糸を開いている方から順にトントンと寄せます。
定規を抜き、先ほど上げた縦糸と逆の糸を拾って起こし、再び45度の角度で横糸を通します。
この時、横糸の折り返し地点を強く引っ張らないように気を付けてください。
縦糸は繊細です。ここで力強く引きすぎると織り全体が歪むので注意しましょう。
また、二段目に限り、一段目の端の糸も一緒に通します。
糸端は織りの端に放置しません。
重複してもいいので内に収め、裏側に出しましょう。
(始末の時にある程度の長さが必要になるので、ちょっと長めに出します)
横糸を通したら縦糸を下ろし、再び開いている方からフォークで寄せます。
これを繰り返して完成サイズのおおよそ1〜5%くらい織りましょう。
今回は8.5cmに対し1.5cmくらい織りました。
横糸の入れ方が合っていれば、織っていくうちに目が詰まっていくので縦糸が見えても多少大丈夫です。
❸下絵をセットする
実寸下絵を縦糸の下に置きます。
写真ではマステで貼っていますが、クリップ等で下辺を留めるだけでもいいです。
この下絵を参照しながら織っていくので、ある程度ずれないように縦糸にペンで印などをつけて置くとやりやすいかもしれません。
❹織る
はい!本番です!織ります!
2の項目での説明と同じように、下絵に合った横色を二本どりで作り、通します。
今回はわかりやすさも兼ねてにゃんぷっぷーの影の部分を青×黄色(以下青黄)にしてみました。
2の糸端に続く形で青黄の糸を入れ、下絵に沿った部分のみ通します。
この時も斜め45度・ふんわり入れて、開いている方からフォークで寄せます。
折り返します。そしてまたフォークでトントンします。
これをひたすら繰り返します。
ここまでの説明で感じた方も多いかもしれませんが、作業的にはドット絵作りに近いです。
色を2色合わせるところとかドットのメッシュに近いですね。
が、1ドットの斜めのような表現は難しく、基本的に縦糸二本分くらいは通した方が安定します。
同じ色でも間に違う糸があると橋渡しして織ることはできないので、開き直ってその都度糸束を作りましょう。
この辺で織る時に気をつける事をまとめます。
- 横糸の角度は斜め45度・ふんわり
- 開いている方からフォークでトントン
- 織りの端に糸を出さない
- ドットは難しい
- できるだけ互い違いになるようにする
互い違いに〜というのは煉瓦積みのようなイメージです。
ただこれは仕上げの時に針と糸でコの字閉じをして抑えてもいいです。
この処理をできるだけやりたくない>クオリティ なら互い違いにしましょう。
余談ですがにゃんぷっぷーの口の部分は流石に難しかったので抹消しました。
こうして技術的な可能とデザイン的な部分の折り合いをつけつつ、コツコツ織っていきましょう。
❺3〜5cmくらい織る
最後まで織れた!?お疲れ様です!!
もうあと少しですよ!
ここで、最初にやったものと同じように単色で数センチ織ります。
この部分は慣らしの役割と織り全体のテンションの安定にもになっています。
気を抜かずしっかり織りましょう。
また、ここでも糸端は織りの中程に収めましょう。
❻フレームから外す
ここからは細心の注意を払ってください。
まず下絵を外し、縦糸が十分な長さになるように糸を切ります。
今回は織り機自体が小さいので裏側の糸の中心辺りで切りました。
厚紙も抜きます。 この時、織りの上下を始め横糸が崩れないように作業しましょう。
❼始末をする
裏に出した糸と縦糸を処理します。
まず縦糸から!
縦糸を針に通し、隣の縦糸の根本に刺し、適当な長さで出します。
そのまま縦糸が目立たなくなるまで引き締めてください。
しっかり処理したら切っても構いません。全ての糸を処理します。
次に裏糸の処理です。
裏に出した糸を近いもの同士で片結びします。
近くに糸がない場合は縦糸と同じようにとじ針でその辺に埋めてください。
(表に響かないように注意しましょう)
こちらも処理できたら余った部分を切ってOKです。 これをひたすら続けます。全部やりましょう。
完成!!!
完成!!! 小さいスケールかつ急ピッチで織ったのでちょっと歪ですができました。
今回の方法は仕組みこそ簡単ですが、かなりちゃんとした織物ができます。
実際、私も大学時代に150cm四方くらいの木製フレームに糸を張って作品を作ったことがあります。
過去作を出したところで今回の記事は終わりです。
みんなも織りやってみてね、自由研究とかでやるのもおすすめだよ。
以上!お疲れ様でした!
【Misskey.artアドベントカレンダー】
1枠目:https://adventar.org/calendars/8804
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